ゴスペルの口腔フォーム


クラシック、ボサノバ、ジャズ、シャンソン、ロック、アニメソング、そして私たちが歌っているゴスペルなど、様々なジャンルの歌があるように、それぞれのトレーニングにおいても多少の違いがあります。(マイクでボリューム調整をしてもらえる環境にあるならば、ブレスコントロールや共鳴などのトレーニングは必要に感じないかもしれません。)

ゴスペルでは、声量や音圧を追求し、深くて重めの声質で歌えるようになることを目指します。そのためにまず必要な歌う時の「口腔フォーム」について紹介します。

「口腔フォーム」とは、歌う時の口の形や口の奥の状態、また、少し広い部分でのど仏のフォームを指すことにします。

 

⑴のど仏を下げる

のど仏を下げることにより、声質に深さを増すことができます。特に高音域を歌う時でも、のど仏が上がらないようにするトレーニングが必要です。

 

のど仏をどのように動かせばいいのかわからない場合は、つばを飲み込むと自然に動きますので、それでまず動きのコツをつかみましょう。鏡を見ながら視覚的に確認するといいですね。ロックやアニメソングなどは、のど仏のポジションを高めにして歌うことが多いようですが、高いポジションで歌い続けると、声帯を疲労させやすいので注意してください。

 

⑵のどの奥を開ける

→ その1

a. 普通に口を閉じた状態で、「ンー」と声を発してみましょう。口の中の空間をできるだけ無くしてみてください。

b. 次に、口は閉じたままで、「アー」と声を発してみましょう。口の前側が開いて、空間ができました。

c. 最後に、口は閉じたままで、①で行ったようにのど仏を下げて「アー」と声を発してみましょう。のどの奥が上下にぐっと広がっているはずです。

 

さて、上記abcの3種類で声が変わりませんか?

a は 口の中の空間がないので ペラっとした心地良くない声

b は、口の奥が閉じているので鼻にかかった幼い声

C は、口を閉じているものの、軟口蓋が上がり、のど仏が下がって広い空間ができているため深い声

 

このように、ハミングの時でさえ口の奥が開くか開かないかによって、声質に違いが出てくるのです。

 

→ その2

突然ですが、あくびをしてみましょう。

あくびは、発声練習の際によく用いられています。その理由は、あくびをすると口の奥が縦に広がり、のど仏も自然に下がるからです。

実際に、あくびをした最後に「アー」と声にして息を吐ききってみましょう。腹式呼吸で息を吸った時、おなか周りが膨らみます。その膨らんだ状態をそのまま維持して声を出すことで、横隔膜の支えが加わり、さらに深めのしっかりした声が出ると思います。

 

⑶下あごと口

⑵で、のどの奥が開くことを確認したら、今度はその開いた状態で口を開けてみてください。そうすると、下あごは下がった状態になります。さらにこの時に、口角を上げて口を上下に開きましょう。抜けが良く明るさを伴う声質になります。あくまでものどの奥の軟口蓋を上げて、のど仏を下げてから口を上下に大きく開けなければ、ペラっとした明るいだけの声質になってしまいます。

 

⑷舌はリラックス

「アー」と発声した時、舌はリラックスして平らになった状態、または中心部分が少しくぼんだ状態です。また舌根は力まず、上がらないようにしましょう。舌根が上がる癖のある人に多いことですが、逆に舌根を下げようとして力みすぎる方もいらっしゃいますので気をつけて。

 

最後に

日本語で「アー」と発声する時、のどの奥は狭く、下あごも上がっていますから、ここまでのフォームは作る必要がありません。しかし、ゴスペルでは声の深さ、太さがあったほうが良いこと、また英語で歌うということから、この「口腔フォーム」の基本を身につけたほうが良いでしょう。テニスや野球の素振り、あるいはバレエなどをイメージしてみてください。初めてテニスラケットや、バットを持つ時、ダンスを習う時は、最初に基本のフォームを習います。そして何度も繰り返して体得し、筋肉に覚えさせます。筋肉が覚えてしまえば、身体がそれに反応し、やがてバランスを崩した状態になっても、応用して対応することができるようになります。

歌の世界も同じ。是非、口を開ける練習の段階から、このフォームを意識して体で覚えていきましょう。


ASAMI

投稿者: ASAMI

-Voice Trainer/Gospel Director- ゴスペル指導歴13年。亀渕友香&The Voices Of JapanにてGospel活動を始める。幕張ホテルニューオータニ、Four Seasons Hotelクリスマスディナーショー、表参道ヒルズなどに出演。NHK文化センター、産経学園等講師。好きな食べ物は、京都の和菓子。

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